滴草由実

New Album
『Yumi Shizukusa II』

10.27 On Sale!


滴草由実の2ndアルバムが完成した。ジャンルを問わず良い曲を選んでいったという今作、作曲陣はMelky Sedeck、Cybersoundチーム、Yoko Blackstone、大野愛果、大賀好修、春畑道哉、徳永暁人といった錚々たる面々となっていて、この事からもヴァラエティに富んだ内容に仕上がっている事が伺えるだろう。さらに日本人アーティストとの初共演となる元フージーズのワイクリフ・ジーンやその弟妹と共にニューヨークでレコーディングされた楽曲があったり、それ以外の全曲のアレンジをボストンのCybersoundチームが手掛けていたりと、スタッフのクレジットからもクオリティの高さが実感出来る。サウンドへのこだわりはもちろん、歌詞やヴォーカルに関しても納得するまでスタッフと話し合って制作していったそうだ。そんな思い入れの強いこのアルバムについて滴草は「生きるための力になる、生きているって実感させてくれるアルバム」と言っている。音楽は滴草と世の中を繋げてくれる空気穴みたいなものなのかもしれない。このアルバムによって胸一杯の呼吸が出来た滴草は、いっそう生きる事の価値や素晴らしさを感じ、さらに大きく深呼吸しようと次の作品に向けて進んで行くのだろう。作品について話を聞いてみた。

●今年に入ってニューヨークに行かれたそうですが、いつ頃、どういう経緯で何をしに行ったのですか?
滴草由実(以下滴草):2月の終わりから3月の初めに行ったんですけど、前の年からワイクリフがプロデュースしてくれるって話があって、それが今年に入ってトントン拍子に進んだんです。以前からニューヨークでレコーディングしたいって言ってたので、本当に実現して自分でもびっくりしました。

●ワイクリフさんがプロデュースしたいと言ったのは、どういった経緯で?
滴草:もともとアジアの女性アーティストを探していたみたいで、色んな資料を集めてたみたいです。それで「この子はどう? こんな子もいるよー」っていう中に私のCDもあって。とにかくワイクリフが待ってるから、アメリカにすぐに来てくれ!みたいな感じでオファーがありました。ちょうどGIZAのヴァレンタイン・ライヴの前だったから、スタッフの人たちもスケジュールが合わないし、え〜困ったなぁ〜みたいな感じでした。

●ワイクリフとニューヨークでレコーディングするよって言われた時はどう思いましたか?
滴草:急に言われてすぐに行ったので、最初はあまり実感が湧かなかったですね。ただニューヨークに行けるって事が嬉しかったです。何かが得られそうだなって気はしました。

●ニューヨークでのレコーディング状況を詳しく教えて下さい。
滴草:実際には、ワイクリフさんはライヴがあるからロスの方に行っていてニューヨークには居なかったので、最初の一週間はワイクリフさんの妹のミルキーさんと弟のサディックさんとレコーディングをしました。最初はまずはコミュニケーションからだったけどすぐに打ち解けられて。普段彼らはママの料理を食べてからレコーディングをするからって、私たちのためにママもわざわざ旅行先のフロリダから駆けつけてくれたんです。みんなすごく温かくて、言葉が通じなくてもすぐにファミリーになれました。その時に「音楽ってやっぱり国境がないんだな」って感じました。レコーディングは、まずはサディックさんが作った曲を聴いたり歌ったりして、「この曲の歌詞を書いてみて」って言われて、その場や1日で作らないといけなかったりと、その辺はいつもと違って苦労しました。

●サディックさんが作った曲は、滴草さんのために作ったものなんですよね?
滴草:「I'm in Love」と「Lucky Girl」の2曲なんですが、私の作品を聴いてそこからイメージして作ってくれてたんです。それで、レコーディングしながらメロディを足したりした部分もあります。

●歌詞に関しては、こういうの書いて欲しいとか、何かアドバイス的な事はあったのですか?
滴草:「I'm in Love」に関しては、ミルキーさんが「好き過ぎて、あなたと居たら時間も忘れちゃう気持ちっていいわね」って言ったのを、サビにぴったりだなって思って参考にして入れました。後の内容は自分の経験から描いています(笑)。「Lucky Girl」は全部自分で考えました。いきなりその場で書いてって言われて、歌詞はいつも自分が書きたい時とか、浮かんだ時に書いていたから、え〜!って。1人でスタジオにこもって書き上げました。

●それは緊張しますね。どうしよう!ってなっちゃいますよね。
滴草:そうなんですよ。歌にしてもミルキーさんはお姉さんでもありティーチャーでもあって「もう1回よ!」って厳しくお尻をペンペンってする感じで。厳しいけど、ちゃんと私の事を考えてくれているのが嬉しかったですね。一番心に残っているのは「歌はフィーリングだ」って言葉。アメリカでも日本でも、歌が上手い人も可愛い人も何万人っているけど、その中で一番大事なのは何だと思う?って聞かれて、「フィーリング?」って言ったら、「そう!」って。フィーリングを声に出すのも大事だけど、身体全体で表現する事もとっても大事なんだよって言われて、すごく勉強になりました。だから歌入れの時は好き勝手に動いてやっていました。そういう言葉が聞けたのは嬉しかったですね。

●弟さんと妹さんとのレコーディングは1週間ぐらいですか?
滴草:そうですね。実際には2週間位いました。レコーディングの他には、ロスでのワイクリフさんのライヴに行くから、そこに着て行く洋服なんかも一緒に買いに行ったり、テレビを見たりママの料理食べたり。ミルキーさんとはたくさん一緒に歌ってすごく楽しかったし、向こうもすごく楽しそうでした。

●その後、ロスに移動してワイクリフさんと対面したんですか?
滴草:ワイクリフさんとは彼のライヴの前にやっと会えました。ハグと握手をした後、「一発歌ってくれ」って言われて、外だったんですけど「眠れぬ少女」をアカペラで歌って。そしたら「オー、ナイスヴォイス!」って(笑)。いきなり携帯を出したかと思ったら、メロディを携帯に録音し始めたり。クールなイメージがあったんだけど、すごくやんちゃでサービス精神旺盛なんです。私がK1が好きですって言うと、男性スタッフや私とK1をやりだしたり、すごく気さくな人でした。でも、ライヴはすごいセクシーでした。みんなで食事に行ったんですけど、一緒にいたバンドのジェリーさんってベースの人が「Lucky Girl」のベースを生で入れてくれて、すごく嬉しかった。

●その後はどういう風に進んでいったんですか?
滴草:またニューヨークに戻って、今度はCybersoundチームと「Rock in the club」をすぐに録りました。夜の10時頃にニューヨークへ着いて、対面してから一緒に食事に行って、夜中からスタジオ入りして。1時間ぐらいで歌詞を書き上げてレコーディングしたので、トータル4時間ぐらいでこの曲は出来上がりました。

●「Rock in the club」はフルートが入ってたりして、幻想的な雰囲気のすごく格好良い曲ですね。その後は?
滴草:また翌日に「Lucky Girl」を歌ったりと、帰国直前までやっていました。終わった時は音を爆音で掛けながら、「ユミー!」って言いながらみんな踊っていました(笑)。

●またおいでよとか言われました?
滴草:もちろん! みんなに今度来る時は家に泊まりなさいって言われました(笑)。

●ニューヨークで録った「Rock in the club」「I'm in Love」は囁くような優しいヴォーカルで、「Lucky Girl」は語尾を上げた独特なスタイルで新境地を聴かせてくれていますが、表現の仕方が変化したのはなぜですか?
滴草:ノリもぜんぜん違うから、身体とか声とかもあっちの雰囲気に溶け込んでいくので、最終的には自然と曲の感じからそうなっていましたが、違う国でワイクリフさんがプロデュースしてくれるっていう事からも、新しい自分を発見したいし挑戦したいって気持ちはありました。日本に帰ってから、歌い方が変わったねってよく言われるようになりました。

●日本に帰ってからも続けてアルバムのレコーディングに入っていたのですか? 
滴草:ライヴがあったので、1ヶ月ぐらいしてレコーディングに入りました。

●アルバム制作に当たって、最初にどういう事をしていったのですか?
滴草:メロディの良い曲を選んでいきました。既に昨年からアルバムに向けてやっていて、その時に作った「Baby, Love again」が一番初めに取り掛かった曲です。ニューヨークから帰って始めにやったのは、「Everything for my dream」です。

●今作は色んな作曲者でかなりバラエティに富んだ仕上がりになったと思いますが、滴草さんが出来上がりを聴いて感じた事はありますか?
滴草:作曲者はバラバラだけど、ワイクリフとコラボした曲以外のアレンジは全曲Cybersoundなので、そういう意味では統一感も生み出せたんじゃないかなって。ミックスジュースみたいですね。味わってみて、「これもいい」「あれもいい」って1個1個に色んな味がある感じ。最近は良い曲ならみんな何でも聴くじゃないですか。ノラ・ジョーンズやアヴリル・ラヴィーンを聴きつつ、R&Bのアッシャ−も聴いたり。良い音楽だったらみんな聴いてくれると思ったから、メロディの良いものをジャンルにこだわらないで選んだ、面白い仕上がりになっていると思います。アレンジに関しては、邦楽とか洋楽ではなくて新しいサウンドに挑戦したかったから、海外でやったらどうなるのかを試してみたかったんです。

●「Missing you」は友達に向けてですが、全体的にやっぱり色んな形や意味を持った “愛”が綴られている歌詞だなって思いました。恋愛にしても気持ちの余裕があるというか、穏やかさが感じられたんですが、いかがですか?
滴草:自分では自然に思った事をそのまま書いているので、前より変えようって意識はまったく無かったんです。でも時間を置いて見てみると、穏やかっていうか前は心が狭かったのかなって思いました。1stアルバムから月日が経った分、経験した事も増えているから、色々と受け入れる事が出来るようになったのかなって。ちょっとした事が歌詞に影響しているんじゃないかな。

●「旅」なんかは“今は明日へと繋がる”とか“歩いてきた道はきっと僕達が大きく生きるための自信になる”とか、まさに受け入れるって感じですね。
滴草:人に「今は辛くてもそれが次に繋がるんだよ」とか言われても、まだ子どもだったのか昔は「そんな事言われても」って思ったし、お母さんの言う事にも反抗してたりしたけど、今はそんな風にならない。カクカクしていた所が今はマルマルになった気がする。

●レコーディング全体で感じた事はありますか?
滴草:今まではこうしたいってあまり言えなかったけど、それが今回のアルバムでは言えるようになった。スタッフと何でも言い合えたっていうのが良かったなって。やっぱり納得したものを作りたいし、みんなに自信を持って届けたいから、自分が良いって思わないとみんなが良いって思ってくれないから。作品は永遠に残るものだから、自分じゃないような感じがする部分が1つでもあると嫌なんです。1曲作るにしてもすごい大変なんですけど、それが当たり前になっては絶対にダメだから、1曲入魂って感じで作っていきました。

●この2ndアルバムは滴草さんにとってどういう存在になりましたか?
滴草:生きてるって実感させてくれる作品。色んな願いが詰まっているし、色んな思い出や切なさや伝えたい事が込められているので、生きるための自分の力になるし、自分に言い聞かせているようなアルバムでもあります。

●海外の人とやるという事からも、いずれは海外進出したいなんて考えたりもしますか?
滴草:そういう機会があれば考えるかもしれないけど……、向こうで出すとなるとやっぱりアメリカ人に合わせて作ったりとか、どこか1つでも作らないといけなくなる部分が出て来ると思うんです。私はアメリカ人じゃないし、今はもっと自分の持っている意思をちゃんと伝えたいって思いの方が強いですね。


滴草由実

NEW ALBUM
『Yumi Shizukusa II』

10.27 Release


GIZA studio
GZCS-5002 ¥3,059(tax in)