北原愛子

New Album
『Sea』

2006.8.9 Release


8月9日に北原愛子待望のニュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『Sea』。夏女のイメージが強い彼女にぴったりなタイトルが付けられたこのアルバムには、シングル5曲を含む全12曲を収録。様々なテイストの曲が詰め込まれた意欲作について、本人に話を聞いてみた。(INTERVIEWED BY YUKARI MATSUBARA)

●1曲1曲お話を聞いていきたいのですが、まずは1曲目の「TANGO」から。
北原愛子(以下北原):曲目の「TANGO」は今年1月にリリースしたシングル曲です。ラテンと言っても色々あるんですが、この曲ではタンゴ調に初めて挑戦しました。聴き所は、アコーディオンの音と、岡田詩郎さん(60年代後半から70年代にかけて大活躍されていたGSグループのギタリスト)に弾いて頂いたGS系のギターが楽しめる所です。

●歌詞の内容の方は?
北原:理想と現実が違ってしまうって事が誰にでもあると思うんですね。それに、気が付いたら理想の形も変わっていたって事も、きっと誰にでもあると思います。例え理想の形が変わっても、心の中にある情熱や熱さは決して消してしまわぬように……、そんな願いを込めてみました。

●アルバムの1曲目って、そのアルバムを印象付けるとても大切なものだと思いますが、この曲を選んだ理由は?
北原:求心力が一番強い感じがしたんですね。イントロでどんどんテンションが上がっていく感じとか。導入部分でリスナーの気持ちをぐっと掴みたかったので、迷わずこの曲を選びました。

●2曲目は「もしも生まれ変わったら もう一度 愛してくれますか?」ですね。
北原:これもシングル曲で、今年の7月にリリースした作品です。スピカさんに曲を書いて頂いた、オケが生音でスパニッシュ・ギターが効いたオシャレ感が漂った切ない曲になっています。失った恋を歌った曲ですが、どこかに希望を見出せればいいかなと思って歌詞を書いていきました。

●失恋した女性が泣きたい時聴くには、もってこいの曲ですよね。
北原:そうですね。前を向いて歩いていかなきゃって思ってるんだけど、でも現実にはまだ進めずにいる女心を描いていますね。心と頭は裏腹なのよっていう。

●3曲目の「もう一度 君に恋している」は?
北原:これもシングル曲で、今年の4月にリリースした作品です。TUBEのギタリストの春畑道哉さんが作曲して下さった曲で、ちょっと懐かしい感じがする、ブラスやパーカッションがよく効いている曲です。好きなものを大切にしようってもう一度再確認してもらえる、そんなきっかけになったらいいなと思って歌詞を書きました。

●4曲目の「千年の命よりも今日この日の幸せを」は、新曲ですね。
北原:はい、アルバム曲になります。ラテン・ロックみたいな曲なんですけれども、実はだいぶ前にレコーディングした曲なんです。サビの最後の“ウララ・ライ”というキメが印象的な曲になっていると思います。先々の事を考えるよりも、その日その日を大切に生きよう!というテーマで歌詞を書いていきました。Bメロからぐっとテンションが上がる所が気に入っています。

●今回の作品の中で、北原さんらしさが一番出ている歌詞だなって感じました。
北原:まぁまぁそうですね。「同じ時代に生まれて 逸れる魂の行方を 何度でも見つけ出してみせる」なんていうフレーズだったりは、運命を信じたり、人間は自然に生かされているって信じている私らしいフレーズかもしれないですね。全体的には、男性詞っぽく書いているんで、歌詞もヴォーカルも力強さを出せる様意識しました。

●5曲目の「Season」は?
北原:この曲の歌詞は、“恋愛”と“季節の移り変わり”をかけてというか、人生にも恋愛にも四季があるんじゃないかなって思って、そんな所から歌詞を書いていきました。

●“恋愛”と“季節の移り変わり”をかけたというのは?
北原:例えば人間も、生まれた時は“春”で、最も活動的な青年期は“夏”、そして中年期は“秋”で、お年寄りになると“冬”みたいなそういう自然な流れって、四季に当てはまると思うんですね。恋愛も同じで、出逢って恋が芽生えた頃は“春”、そこから恋が燃え盛る“夏”が来て、少し慣れてきてマンネリな時期は“秋”な感じで、やがて別れ=“冬”が来るみたいな。でもまたそこから新しい出逢いがあったり、やっぱり別れないでもう一度恋が復活したり……、恋愛も人生もそんな繰返しじゃないですか。まるで季節が巡り巡るように。色々な意味での「Season」にかけてみました。

●なるほど。サビのキャッチーなノリのあるメロディと、そこに乗せている韻を踏んでいる歌詞がとても耳に残って気持ちのいい曲ですね。
北原:そうですね。サビのメロディは切ない感じなんですけど、リズムの感じはノリがいいので耳に心地良く残るんじゃないかなと思います。個人的にはイントロの出だしの部分が気に入っています。良かったらチェックしてみて下さい。

●6曲目は「ダイジョウブ」ですね。
北原:この曲は「もう一度 君に恋している」のカップリング曲です。爽やかなオケとメロディなんですけど、歌詞の内容の方は、失った恋愛をどう前向きに対処するかという自分との葛藤を描いてみました。

●改めて聴くととてもいい曲だし、このアルバムの中でいい役割を果たしてますよね。
北原:この中に入るとすごく映えるなって、私も思いましたね。「TANGO」から始まって、前半は挑む系の曲が続くので、6曲目でこの「ダイジョウブ」みたいな癒し系の曲が入るとホッと一息出来るというか。

●続く7曲目は「明日はきっと晴れるや」ですが。
北原:この曲では、初めてジャズ調の曲に挑戦しました。歌詞の方は、生きてると色々あるけれど、自分らしい人生を歩めればいいんじゃないかなっていうテーマで書いていきました。聴いてくれるみんなの心がパっと晴れるような曲にしたくて……、そんな願いを込めて作りました。

●大人な北原さんを感じられる曲でしたが。
北原:プライベートではジャズを良く聴くので、いつか自分でもやりたいなって思っていたんです。でも実際挑戦してみたら難しかったですね。今まで比較的オケ厚な曲が多かったので、これだけシンプルなオケだと、ちょっと感じが違って歌う難しさを感じました。

●アルバムだからこそ活きる曲だなって感じました。
北原:まだ私にはちょっと早いかなとも思ったんですが、でも色々挑戦した事によって、結果、バラエティ豊かなアルバムになったので良かったと感じています。

●続く8曲目は「Dream☆ing」ですね。
北原:この曲は「もしも生まれ変わったら もう一度 愛してくれますか?」と両A面として発表したシングル曲です。大阪の梅田エストのテーマソングとして作りました。聴いて頂くと、とても楽しい気持ちになって、お買い物に行きたくなる、そんな曲ではないかと思います。街に彩りを添えたような曲になっています。オケの構成が導入部分はゆったりしていて、Bメロからグッとテンションが上がるんですけど、その部分がふと気持ちを持ち上げてくれる感じがして、とても気に入っています。

●9曲目「エピローグ」はアレンジはラテンなんですけど、ロックなテイストを強く感じる曲でしたが。
北原:そうですね。とてもスピード感のあるアップ・テンポな曲です。人は何だかんだ言って、最後に命をまっとうする時に、やっと全ての人生の意味や思いを知る事が出来るんじゃないかと。そんな自分の人生の最終章という意味で「エピローグ」というタイトルをつけて歌っています。

●そうですね。考えさせられるフレーズが詰まった歌詞になっていますね。
北原:色々考える時間があると余計な事を考えたりするものじゃないですか? でも何だかんだ言っても目の前の事を頑張ってやっていたら、何とかなるんじゃないかな、みたいな。失敗して遠回りする事も大事だと思うし、きっと頑張ってやっていれば、振り返った時花は咲いてるはずだよっていう、全て肯定派な歌詞になっています。

●テンポが早いし、歌入れは大変だったんじゃないですか?
北原:そうですね。難しかったですね。アップ・テンポな上に、メロディが多い分言葉の方も多くなって譜割も独特な乗せ方になったので、歌うのはちょっと大変でしたね。

●10曲目は「テ・ケロ テ・アモ 〜夏の夏の恋〜」ですね。
北原:こちらは去年の7月にリリースしたシングル曲で、日本語訳で“好きです愛しています”という意味の曲になっています。サビ部分では、みんなと一緒にハンド・クラップをしながら歌える、楽しい曲になっています。

●11曲目の「また会おうね」は?
北原:これは、「テ・ケロ テ・アモ 〜夏の夏の恋〜」のカップリング曲です。ライヴに来てくれる皆さんの事を、ただただ思って書いた曲。いつも言えない気持ちをメロディに乗せる事によってスムーズに言う事が出来たと思います。

●そして最後、12曲目は「Sea」。
北原:アルバムのタイトルにもなっているんですけど、ボサノヴァ調の曲になっていて……、ボサノヴァも初めて挑戦しました。歌詞はとても幸せな、でも切な系の女性心を歌っています。DIMENSIONの増崎孝司さんがアレンジして下さいました。最後は波の音で終わるという、静かな曲です。

●増崎さんに依頼されたきっかけは?
北原:デモもギター1本で作られていて、そのイメージを崩さずオケを作りたいなって思ったんです。ギターがメインっていう部分を重要視したかったので、だったら是非増崎さんにお願いしたいなと思いました。ボサノヴァ調も初めてでしたが、すごく勉強になりました。

●タイトル曲が一番最後に来るのも珍しいですよね。
北原:逆に映えるかなと思って。最後に癒されて頂こうと。アルバムを全体を通して聴いた時に、“濃いな! キャラが熱いものが集まって濃い!”って思ったんです。そこで、ずっと濃く来て、最後「Sea」で薄める!みたいな。「Sea」でクール・ダウンしたら、また1曲目を聴きたくなる! そんな構成に出来たんじゃないかなって思います。

●コンスタントに出されてきた最近の作品のベスト的な、最新の北原愛子さんが詰まったアルバムになりましたね。
北原:今自分の出せる全てを出し切って作った感じですね。今まで守ってきたものを守りつつ、さらに今回は色々な挑戦をした、枠に捕われない様々な北原愛子を感じて頂ける1枚に仕上がったと思います。

●ズバリ、このアルバムを1文字の漢字で表すとしたら何ですか?
北原:“凛”ですね! 1本筋の通った、凛としたアルバムだと思います。私の性格上、曲がった事が大嫌いなので、そういう面が色々な所に出ているんじゃないかなと思います。

●最後に、今後のご予定は?
北原:次の作品の制作を少しずつ始めています。また里菜1祭りにゲスト参加させて頂いたり、THURSDAY LIVEでKITAHARA NIGHTがあったり、あと、music freak magazineさん主催の「COUNTDOWN BEING PARTY」に出させて頂いたり、この夏はライヴやイベント出演が続く予定になっています!

●9月9日の「COUNTDOWN BEING PARTY」よろしくお願いします! 
北原:はい。もう純粋に楽しみにしています! すごく面白そうな企画で、是非レギュラー化したらいいのに〜って思いました! 今回は1回目に出演させて頂くという事で、是非今後レギュラー化されるよう、私も頑張りたいと思います!


北原愛子

New Album
『Sea』

2006.8.9


GIZA studio
GZCA-5083 ¥3,059(tax in)